字が汚いとお悩みの方、是非ご一読下さい。

最近ではパソコンやスマホ等の普及により、文字を書く機会はかなり減ってきていると思います。私も文字を教えている身ではありますが、筆を持つ以外でボールペンや万年筆を使って文字を書く機会は数年前に比べて明らかに減っていると感じています。

しかし、これほどに普及しているパソコンやスマホですが、何かの申込書や契約書など、日常生活の中でどうしてもペンを持たなければならない場面は意外と多くあります。「自分は字が汚いから、自分の書いた文字を人に見せたくない」と感じてしまうと負のスパイラルに入り込み、ペンを持つ機会が更に減り、文字の上達どころではありません。

そこで、文字を綺麗に書くためにとても重要な要素の1つである「書き順」についてです。

甲骨文  

      甲骨文                 「成」の1画目

他のコラムで漢字の誕生は「甲骨文字」であると書かせて頂きました。「甲骨文字」は亀の甲羅や動物の骨に文字を刻んだもので、今からおよそ3500年前に中国の殷(いん)王朝晩期の遺跡から出土されました。「もちろん地域も使っていた人も極限られていたものなので、そこには「書き順」というものは存在していません。現在我々が一般的に使用している書体は「楷書」ですが、楷書が確立されたのは4世紀頃と言われているので、今から1500年以上も前になります。ですがその頃には正式には「書き順」という物が決められてはおらず、漠然とそれらしきものが存在していただけでした。日本国内で漢字の書き順が制定されたのは1958年の文部省著作「筆順指導の手びき」においてです。それ以後も、一部の漢字の書き順の変更はありましたが、国家的な規模で筆順を定めたものは、日本にはありません。

そんな「書き順」ですが、我々は小・中学校の頃には国語の時間に漢字を習い、同時に「書き順」も習いました。ですが漢字の書き取りのテストは時々行われていましたが、「書き順」のテストは記憶にありません。最近はテレビのクイズ番組や美文字の特集番組等で「書き順」が取り上げられる程度ですが、私はこの「書き順」が文字を綺麗に見せる重要なポイントの1つと考えています。

私が書道を本格的に勉強を始めたのは20歳前後ですが、その頃はあまり「書き順」にこだわってはいませんでしたが、当時の書道の師匠に、ある文字の「書き順」の違いを指摘されたのがキッカケで「書き順」の重要性に気か付きました。ある文字というのは「成」です。この字は多くの人が「書き順」を間違えて覚えている文字のトップクラスに入るくらい間違っている人の多い文字ですが、私もご多分に漏れず間違えていました。もともと自分の中ではバランスが取りにくく「書きにくい文字だなぁ・・・」と苦手意識の強い文字でした。ですが師匠に「書き順」を指摘されてからは苦手意識が無くなり書きにくいと思うことも無くなりました。それまでと違う書き順で書くことはもちろん違和感はあるのですがそれも一時で、慣れてしまうまでにそれ程の時間は要しませんでした。ほとんどの人は「自分の書き順は正しい!」とお考えのことと思いますが、何かの折に自分の「書き順」が間違っている事に気が付いたら、是非直されることをオススメ致します。成立から2000年以上も後に制定された「書き順」通りに書いた方が文字は綺麗に見えるものです。

私は書道を指導しなが生徒の「書き順」についても注意をはらい、正確な「書き順」で書かせることを常に考えています。これは毛筆でも硬筆でも変わることはありません。正しい「書き順」で書くだけで綺麗な文字が書ける訳ではありませんが、日頃から意識をして丁寧に文字を書くことを心がければ文字は変わることと思います。