書道において欠かすことのできない4つの道具、筆・墨・硯・紙を総称して「文具四宝(文房四宝、文房四友とも)」
といいます。
文房とは中国語で文人の書斎のことを表し、そこに備えておく道具のことを文房具と呼ばれるようになりました。
基本的に筆、墨、紙は消耗品である一方、硯は半永久的に使うことができます。
今回はこの文具四宝の中の一つである「紙」ついてのお話しです。
「唐紙」と「和紙」
書道で使われる用紙には、大きく分けて「唐紙(とうし)」と「和紙(わし)」があります。
「唐紙」は一般的に「和紙」と比較すると繊維が短く破れやすいのですが、 書を書くことを目的にして作られて
いるため、墨が浸透しやすく、書道の味わいである滲みやかすれがきれいに出やすい特徴を持ちます。
一方「和紙」は和紙は国産の三椏(みつまた)・楮(こうぞ)・麻や天然の雁皮(がんぴ)を主原料とした紙を
指します。唐紙よりも繊維が長く丈夫なため、紙質はしっかりしているのが特徴です。 また、和紙の中でも原料に
よって麻紙・雁皮紙・穀紙(こくし)と違いがあります。
「手漉き」と「機械漉き」
「唐紙」「和紙」ともに職人の手で作られた「手漉き(てすき)」と、工業的に機械で作られた「機械漉き
(きかいすき)」があります。
洋紙と和紙が区別されるようになったのは、明治時代のことです。西洋の技術が導入され、日本でも機械漉きが
行われるようになると、楮などを原料とする伝統的な紙とは味わいを異にするため、機械漉き を「洋紙」、手漉きを
「和紙」と呼ぶようになりました。現在では、機械漉きの和紙も作られるようになり、 厳密な分類は難しくなり
ました。
「手漉き」と「機械漉き」の違いの一つに、生産する紙のサイズにあります。和紙は一枚ずつ漉くのですが、
機械では長い紙を連続して製造し、その後にカットします。原料も「和紙」は格などの伝統的な繊維を 使いますが、
「機械漉き」では木材パルプが主流です。
「手漉き}は高価な物が多く、作品の揮毫や清書などに選ばれます。発墨がよく、滲みやかすれなど表情豊かに描く
ことができるのが特徴です。 紙の中に墨が浸透していき、浸透具合で墨色の美しさに変化を与えます。ここ数年は
原材料である物資が中国から輸入しにくくなったり、国内の工場の後継者の問題等、職人不足の影響で全般的に
金額が高騰している物が多いのが現状です。
「機械漉き」は手漉きに比べると安価で入手しやすく、半紙選びの際は、練習用は機械漉き、清書用には手漉きと
言うように使い分けると良いでしょう。小学校や中学校の習字(書写)の授業で使われる用紙は、ほとんどがこの
「機械漉き」で、街の文具店やスーパー、百貨店などで簡単に購入する事が可能です。
用紙の選び方
書道で使う紙にもたくさんの種類の紙があり、先に述べた通り「唐紙」「和紙」「手漉き和紙」「機械漉きの紙」
など様々な種類があります。これといって選び方に明確な決まりはなく、用途・目的に応じて、紙を選ぶ事が
大切です。
紙を選ぶ要素は多くあります。
① 書体
② 紙の色
③ 墨の発色
④ かすれ・滲み
⑤ 紙の厚さ
⑥ 漢字か仮名か
⑦ サイズ
⑧ 価格
数え上げればキリがありませんが、これら全てを考慮する必要があると考えます。師匠が「この紙は良い紙だ!」と
言ってもその紙が自分に合った紙であるとは限りません。同じ紙でも筆に含ませる墨の量や、運筆スピードによっても
表現が変わってきます。遠回りのようですが沢山の紙を使ってみて、その中から自分が表現したい線を書く事が出来る
用紙を見つけるのが良いでしょう。
余談ですが、「半紙」という言葉をよく耳にしますが、これは書道で一般的に使われる紙の種類を指す言葉ではありま
せん。
「半紙」は紙の大きさを指す物です。約24.3cm✕33.4cm、これが「半紙」のサイズです。
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